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名探偵 縦溝(たてみぞ)の事件簿

第2話 人形坂のクピクピの家


 
 名探偵が呼ばれたのは、中国地方の山陰の一地方、ここら一体を
しきる土豪のような名家だった。その名をクピクピ家。
日本人じゃないのか、とか。
そもそもクピクピってどこの言葉だ、とか。
ネタが思いつかないなら思いつかないで無理するな、とか。

 そういうことはどうでもいいことであった。
 
 閑話休題。
さて、ありえないぐらいにこんがらかった人間関係の一族であったが、
ここでやはり、ご希望にもれることなく、殺人事件が起こった。

 1/1美少女フィギュアに入れられ、偽装されて死んでいた人とか

 湖からニーソックス足を突き出して死んでいる人(おっさん)とかがいた。

「名探偵・・・この事件、難解ですな」

 引き立て役の警部が言う。

「ええ・・・ですが、すでに全ての謎は解けています。警部さん。全ての関係者を集めてください」

 名探偵縦溝は余裕綽々と言った感じだ。

「なんと、いや、さすがは名探偵。わかりました、生き残っている関係者を全員、集めておきます」


 ほどなくして、20畳もあろうかという部屋に、関係者が集められた。


 殺された代議士の秘書  矢追 順二
「縦溝先生・・・こりゃ、一体どういうことです? 犯人は、そこのあばずれでしょう?」

 殺された代議士の愛人  緒戸子 好記夜 おとこ すきよ
「何を言ってるのかしら? 妄想も甚だしいわね、どうせ犯人はあんたなんでしょ?」

 殺された代議士、その殺された長男、その妹(本当はオカマ)
「もぅ、こんな怖いことは終わって欲しいニャリン」

 殺された一族の長老の妻 蘭(116歳) 
「あの人を殺したのは・・・やっぱり、アイツじゃろ? 先生」

 殺された一族の長老の浮気相手 菊(118歳) 
「なんばいうか、この腐れババめ・・・自分の夫を殺しといて・・・よう言うわ」

 殺された代議士が経営していたエロゲーメーカーの
プログラマー兼シナリオライター兼グラフィッカー兼原画家 
「何とかしてくださいよ、僕は早く東京に帰って社長の遺作である『うわさのランドセル 
~小学生でバスト1m~』を、製作しなくちゃいけないんです」

 殺された代議士、その殺された長男、その殺された秘書、そして殺されたその知り合い 
の友達 クシカキク・タテイスキク(自称 火星人)
「わたし、はやく、かせい帰りたいデース」

 殺された一族の長老の浮気相手の夫 木村庄之助(115歳)
「メシ・・・食わせてくれ・・・しっこ・・・漏らしてしもうた・・・気持ち悪い・・・オシメ替え
とくれよ・・・」

 殺された通行人の友達のビジネスパートナーの担当の看護婦の妹のクラスメイトの担任の従姉妹の
恋人の会社の従業員がある日ナンパした通行人 木村 美代子
「あたしは関係ないんじゃないかなー」


 この一癖も二癖もありそうな容疑者たちの前に、名探偵が現れる。

「良く来てくださいました・・・みなさん」

「名探偵さん、こりゃどういうことだい?」

 殺された一族の長老の浮気相手 菊(118歳)が言う。

「まさか・・・事件の真相がわかったニャリン?」 

 殺された代議士が経営していたエロゲーメーカーのプログラマー兼シナリオライター兼
グラフィッカー兼原画家(略してエロゲー)が、怯えた様子で辺りを伺っている。

「ええ・・・私にとっては・・・既に事件は解決したようなものですよ」

「名探偵、推理を話してください」

 警部に促され、名探偵が事件の真相を語り始めた。

「まず、最初の事件・・・殺された一族の長老の浮気がポイントなのですが・・・実は、
浮気相手は菊(118歳)さんではなく・・・」

「・・・長老の浮気相手の夫 木村庄之助(115歳)こそが、長老が本当に浮気していた
相手だったのです!」

「な、なんだって! そんな馬鹿な!」

 警部が叫ぶ。 

「さらに・・・殺された代議士、その殺された長男との間にも、木村庄之助(115歳)は肉体関係を
持っていたのです!!こちらが証拠のカセットテープです。・・・お聞き苦しい内容かもしれません
が・・・確認を」

 満場一致で、確認したくないと却下された。 

「さらに、殺された代議士が経営していたエロゲーメーカーのプログラマー兼シナリオライター兼
グラフィッカー兼原画家(略してエロゲー)は、ロリコンを装っていましたが・・・
本当は木村庄之助(115歳)と肉体関係を持っていたのです!」

「ふっ、馬鹿言っちゃいけませんよ。探偵さん・・・何を証拠にそんな事を、証拠は
あるニャリン?!」

 エロゲーが縦溝に食って掛かる。

「証拠なら、ここに写真が100枚あります」

「すみませんごめんなさい調子こいてましたマジかんべんしてくださいニャリン」 

 エロゲーは土下座した。

「もっと言うと・・・殺された代議士の秘書  矢追 順二もまた、木村庄之助(115歳)の
しなびた肉体にめくるめく肉欲を感じていたのです!」

「ふざけるのも大概にしてください! 探偵さん、名誉毀損で訴えますよ・・・!」

 矢追 順二が叫ぶ。 

「困りましたね・・・矢追さん・・・あの晩の『へっへっへっ・・・庄之助・・・いいシワケツ
してるじゃねぇか・・・たまんねぇ・・・』から、再生しますか・・・」

「ううっ・・・どうしようもなかったんだ・・・あの・・・魔性の肌が・・・魔性のシワシワが・・・
オレを誘惑したんだ・・・!老人斑を見たオレは・・・自分止められなかったんだーー!」 

 矢追は崩れ落ちた。

「そして、もっともショッキングな事に警部もまた、木村庄之助(115歳)と肉体関係を持っていた
のです!」

「ゆ、許してくれー! さちこー! 我慢が、我慢ができなかったんだー!」

 引き立て役の警部が泣き崩れた。


 殺された代議士の愛人  緒戸子 好記夜 おとこ すきよ が、発言した。

「名探偵さん、それで、殺人事件のほうは?」

「? それは警察の仕事でしょ? 僕が依頼を受けたのは浮気調査だし」

「・・・」

「それじゃ、木村庄之助(115歳)の肉欲の夜は、ばっちり撮っておきましたから、
これ、調査結果になります」




 第2話 完

 
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