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マンハンター コマユバチの城

9章 コマユバチの城


 

 



 
 俺と繭華は途中で軽自動車を失敬し、まず例のビルに向かった。
運転は俺だ。オートマチック車で助かった。
車は後で返す予定だ。・・・非常事態だ、泥棒とか無免許運転とか言わないでくれ。
ビルはそのままだった。地上35階建て、1つのフロアーは縦横50m以上ある。
人気がない、何かの墓標のようなビルが、ただシーンとしてそこに建っていた。

「作業を始めよう」 

 繭華に言われ、俺たちは作業を開始した。
まず、作業用のゴンドラを起動させた。
どうにか動くものが1つあった。ディーゼル燃料を使ったエンジンで動かしているものがあったのだ。
 フロアの20階から上の方は鉄骨だけだ。
繭華は各階に仕掛けられた爆弾を入念にチェックし、起爆装置の状態を見る。
全てを確認するのに2時間ほどかかった。


 次にあのニセ警官が使っていた地下室のある工場へ向かう。
マンハンターを集める餌を手に入れるためだ。
 
 車はゆっくりと、しかし確実に速度を上げ、道路を走る。
途中、血塗れの殺人鬼らしき人間がいくらか見えるが、さすがに自動車に襲い掛かってくるものは
いない。

 これならいける。
俺はマンハンターを引かないように道路を突っ走った。

 追いかけてくるヤツもいない。
最短距離で走ろうとしたが、マンハンターの群れと遭遇したりして、道を2度ほど引き返した。
そのたびにルートを変更して、回り道をしつつ工場跡へ近づく。

 ふと、ミラーの隅に、何か影のようなものが動いたのが見えた。
走って追いかけてくるマンハンターでもいたのかと思ったら、違った。

 トラックがスピードを出して追いかけてきた。
フロント部分がグシャグシャに壊れているトラックだ。そこにはなんだか血だが肉片だかが
こびりついている。
トラックの運転主席には血走った目の若い男が座っていた。
ボロボロの血塗れのトラックが、猛スピードで突っ込んでくる。

 ってなんだよそりゃ?
トラックの荷台からは血が滴り落ちていた。
俺が軽自動車を狭い道に入れると、トラックも無理やり突っ込んでくる。

「明らかに追いかけてきてる」

 繭華が助手席で冷静に解説する。

「聞いたことはある。トラックで人をひき殺して、死体を荷台に乗せて走り去るタイプの
マンハンターがいるという都市伝説があってね」

「都市伝説じゃねぇよ?! 今、後ろにいるってよ! っていうか見てから思い出すのやめて
くんない?」

「むっ、キミは失敬だなボクの情報もたいした物だろう」

 そんなやり取りを続ける余裕はすぐになくなる。
トラックは明らかに俺たちに目をつけており、こっちに体当たりして止める気満々だ。
ミラーでなんどか確認すると、荷台いっぱいに人の死体を積んでいるらしく、
車体が傾くたびに人の死体の一部がボロボロと零れ落ちていく。

「みさかいなしだな」

「食べるのより、狩が楽しいってタイプもいるんだよ。それよりキミ、あれはいい、使える」

「使える?!」

 俺は急ハンドルでボーっと突っ立っているマンハンターを避けつつ叫ぶ。
数秒後、そいつはトラックに轢かれて死んだ。

「このままカーチェイスをして、トラックを例のビルまでおびき寄せよう。
餌をばら撒く作業をしないで済んでよかったね」

 俺は軽自動車を全力で走らせる。アクセルべた踏み、小回り以外武器は無い。
トラックのエンジンは調子が悪いらしい。オイル漏れも起こしているのか、黒い煙を吐き出しつつ
異常な音と共に迫ってくる。

 最初は荷物が重いのか、大した速度ではなかったのだが、荷台の死体が徐々に減っていき、
調子を上げてきている。

「キミ、そろそろビルだ。気を抜くなよ」

 ナビと化した繭華が横からいろいろ言ってくる。

「そう、言ったって、どうするつもりなんだ!」

「この道を100m直進すれば、ビルの工事現場の壁だ! あそこに向かって全力で走れ!
後はどうにかする!」

「どうにでもしてくれ! マジで!」

 トラックは後方3mまで迫っていた。
壁まで、チキンレースの状態だ。

 繭華が助手席側の窓から身を乗り出す。
後ろを向き、散弾銃を構える。

「銃声と同時にカーブして逃げろ!」

 パンパンッと、今では聞きなれた破裂音。
俺は車を壁ギリギリでコーナリングさせる。

 トラックはコントロールを失っている。どうもタイヤがパンクしたらしい。
トラックはそのままの態勢で壁に突っ込んでいき、それを破壊、突き破っていき、
ビルの中で横転した。すさまじい音だった。

「ビルの中に死体が撒かれた、これでいいよ、キミ、少し放れよう。マンハンターが群れをなして
こっちにくる。ボクが誘導するから車を走らせてくれ」

 







 俺は車を操縦し、繭華と一緒にビルから離れる。
現場からだいぶ離れた、なるべく安全そうな、見晴らしのいい丘の上の公園に行く。ここで
起爆装置を使う。

 ビルの周りの通りは、マンハンターらしきヤツらが、大量にいた。
手に手に血濡れの包丁やナイフを持った連中が、全身に返り血を浴びた
連中が、のそのそと歩いてくる。

「アイツら、この町まで徒歩で来たんだ。どうりで腹も空かしているし、疲れきっているわけだ」 

 マンハンターたちは次から次へと押し寄せてくる。
先頭のマンハンターたちは後ろから来た連中に押し込まれるようにして中に入っていく。

「やった」

 繭華が小さくガッツポーズ。
見た限りでなんとも言えないが、1万人近いマンハンターがビルに入った。

「これで、これでいい、ボクの行為は報われた」

 繭華はスイッチを押した。

 何もおきない。

「・・・? なぜ? どうして?! 確かに爆弾は確認したはずなのに!」 

 繭華はスイッチを何度も押した、何度も何度も、ただひたすらカチカチと押し続けた。

「爆発、しない」

 繭華は呆然として、つぶやいた。

「どうしたんだ」

「分からない・・・もしかしたら中に入ったマンハンターが起爆装置を壊したか、あるいは
妨害電波を出す装置を持っているヤツがいるのかも」

「妨害電波だと? あいつらそんなもの使うのか?」

「マンハンターはゾンビじゃない。知能は人間なんだよ」

 繭華は力なくうなだれる。

「ボクも何人かそういうマンハンターを知ってる。
あいつらは携帯電話とかで顔写真を撮られるのを極度に恐れるんだ。すぐにメールとかで顔写真が
送信されてしまう可能性があるからるね。それで電波を妨害する装置を持ち歩いているヤツもたま
にいるんだ。ある程度は計算していたつもりだったのに、うっかりしていた。なんてことだ。
ボクはバカだ」

「そのスイッチ以外に爆破する方法は無いのか?」

「30階のフロアに起爆装置を仕掛けてある。
そこに行って、・・・直接爆破装置を動かせば爆発するけど」

 ・・・なるほど。
そうか、それでいいのか。

「そんじゃ、ちょっと行ってくる」

 ビルの30階で、ビルの爆破装置を起動する。
それを行った人間は、確実に死ぬ。
だが、死が迫っている人間なら、そういう人間にとっては、たいした問題ではない。

「繭華」

 俺は繭華を抱きしめた。

「今までありがとな、でもお前は生きていてくれ、死ぬのは1人で充分だ」

 俺は走り出した。
マンハンターの中を走り抜けて、あのビルの30階に辿り着けつけさえすればいいのだ。
簡単なことだ。



 途中で失敬した軽自動車を走らせる。
この公園からあのビルまではマンハンターがウロチョロしている。普通に近づくのは絶望的だ。
こいつで突破する。元の持ち主には申し訳ないが、ここは使わせてもらう。
持っていた痛み止めをいくつかまとめて飲む。途中で倒れたらただのバカだし、これだけ飲めば
痛みも何も感じない。怪我にもひるまず突っ込むことができる。

 エンジンを始動し、車を動かす。
計器に目をやると、ガソリンが残りわずかなのが分かったが、そんなことはどうでもいい。

 ビルのふもとまで辿り着ければ、それでいい。
クラクションをならしつつ、マンハンターの群れに突っ込む。
さすがに車に轢かれたくはないらしく、群れが割れていく。
俺はそこに車をもぐりこませる。

 工事現場に車のまま飛び込む。
ガクン、とか、プスンという感じの音を立てて、車はそこで止まった。


 そこから、ビルのゴンドラまで、相当な人数のマンハンターがいる。
こっちを見ているが、何がなんだかよくわからない、という顔をしている。
俺落ちいてた鉄パイプを拾い、そいつを構えたまま突進する。

「うぉぉおお!」

 血塗れの連中が退いていく。
だが、全員がよけるわけではない。
何人かが手に持ったナイフやカマ、包丁で切りかかってくる。

 とにかくかわすことができればいい。
俺は鉄パイプで包丁やナイフを叩きつつ、何も考えずに突進する。


 そうして走って走って、走りまくって作業用のゴンドラに行く。
あとは地上から上までノンストップだ。

 なんのことはない、案外簡単だった。
俺を乗せたゴンドラは、スルスルと上にあがった。
そこで一息ついた俺は、自分の体から、何か温かいものが流れ出していることに気がついた。
手でわき腹に触れる。血だ。どうも通り過ぎるときに何ヶ所か切られたらしい。
だが、痛みはまったくない。しかし邪魔だと感じるくらい、出血がある。やばいかもしれない。


 そうしてゴンドラに乗っていると、
途中で突然止まった。20階の表示が見えた。
20階には、マンハンターがたむろしていた。相当な数がいる。
おかしい、ゴンドラが動かない。俺は気ばかりあせり、ゴンドラを動かそうと
スイッチを押す。

「ENPTY」と書かれている文字盤が光っているのに気がついたのは、数秒後のことだった。
なるほど、ディーゼル燃料が、もうなかったらしい。
 
 フロアにいるマンハンターが、俺に気がついた。
その手に持った凶器を振りかざし、闖入者である俺に、少しずつ接近してくる。
このゴンドラには手すりしかなく、壁はない。襲い掛かれたら、即アウトだ。

「走れ!」

 幻聴だろうか、繭華の声がした。

「キミの後ろだ! とっとと走れ!」

 後ろを振り返ると、そこには繭華がいた。
彼女は散弾銃を2発ぶっ放し、階段へのルートを邪魔していたマンハンターを倒した。

「繭華!」

 ゴンドラから飛び降り、走り出す。
床に散らかっている鉄骨を飛び越え、倒れているマンハンターを踏みつけ、走る。

「こっちだ!」

 繭華が俺を先導して走る。
階段を走りながら、繭華は立ちはだかるマンハンターを次々と散弾銃で打ち倒していく。

「そろそろ弾切れだ! 間にあって!」

 繭華の息切れは激しい。
俺も限界が近い。

 鉄骨の階段を走って走って、走り抜けて・・・そして。


 俺たちは30階のフロアに出た。
繭華はフロアの片隅にある何かを拾い上げた。あれが起爆装置なのだろう。
繭華は起爆装置を両手でしっかり持って、そして、膝から崩れ落ち、その場で倒れた。
赤い液体が、奇妙な赤い液体が、繭華の体からドロドロと流れ出していた。
血だと、認識できなかった。



 雪が降り始めていた。
ビルの上だというのに、風がほとんどない。こんなに空に近いところで雪が降るのを
見るのは初めてだった。

 2~3階下の階にはマンハンターが大量にいた。
階段は1つしかない、上がってくるのは容易なのだろうが、俺は繭華のショットガンを借り受け、
ヤツらが少しでも上がってきたら、即座に撃った。鉄骨しかないため、下の状況がよく見えるのだ。

 やがてヤツらは警戒し、かなり下に陣取った。
こちらの隙を伺っているのだろう。

 繭華は、虫の息だった。
全身に数箇所、深い切り傷があった。なんどかひどく血の混じったセキもしている。
その出血も酷いのだが、さらにわき腹に矢が刺さっていた。
右背中から刺さり、先端が胸の右下の辺りから飛び出している。致命傷だろう。

「クロスボウの矢だよ・・・ぐうっ!」

 繭華が呻いた。酷い熱だ。

「は、は、はは、痛いよ、これ、本気で、痛い、死にそう、だよ」

「どうして、来たんだよ、俺なんかほっといて、どこにでも行っちまえばよかったのに」

「だって、キミ、1人じゃ無理だったでしょ? ここまでくるの」

「おまえが、ここまでやってどうすんだ。この町の人間みんな見捨てて、逃げりゃよかったんだ」

「そんなこと、したら、キミも和泉も加藤くんも死んじゃうよ。
和泉は、ボクの妹になる人なんだから、死なせたくないよ」

 繭華は痛みをこらえつつも、幸せそうに微笑んだ。

「和泉は、ボクの新しい家族なんだ。もう、家族を、誰も死なせはしない、絶対に。
もう、ボクの家族は絶対死なせない」

「繭華」

 俺は繭華を抱きしめた。死にかけている子猫みたいに繭華は軽かった。

 辺りはなんだか、不自然なぐらい静かだった。
ときおり冷たい風が吹いた。俺は繭華の体に風が当たらないように着ていたコートで繭華をくるんだ。

 病院は、人がいない。
救急車は、さっきから携帯電話で連絡しているが、一向に繋がらない。
110番も届かない。
そもそも下の階はマンハンターだらけだ。致命傷を負った繭華を抱えてここから逃げるのは、
不可能だった。
俺の出血も、いよいよ激しい。落ち着いてから自分の体をまさぐると、あちこちに深い傷があった。
傷口からの出血が止まらない。頭も少し朦朧としてきている。
いろいろと考えて、できることはやったが、どうもここが俺たちの最期の場所みたいだ。

 あと、やれることは無いかと考えを巡らせた。
できることが1つあった。

「そうだ、俺らさ、ここで結婚できないかな? いや、しちゃおうぜ?」

「何言ってるのキミ、・・・あ」

 俺は口にモルヒネの錠剤を咥え、齧って砕いてから、繭華にキスした。

「うんー」 

 繭華の口に、モルヒネを流し込む。
これで、たぶんもう痛みは治まる。
少しずつ、わずかに少しずつだが、繭華のうめき声が小さくなっていく。

「・・・ああ」

 繭華は感心した様子だった。

「これなに? キミの痛み止め? うん、もう痛くない。ああー、すごく楽になった」

 繭華がごそごそと動き始めた。
リュックに手をやる。

「弾は残り3発か。もう撃ち止めにしたほうがいいね。
さて、結婚かぁ。どうしようか、婚姻届も出せないし、祝ってくれるギャラリーもいないし」

「法的な手続きなんか、このさいどうでもいい。
それと、いいことを思いついたんだ。携帯は・・・っと」

 俺は携帯電話を出した。機能が使えればいいんだが。
メールを作り、短い文章を記憶を頼りに送る。
ポケットのラジオに手をやり、電源を入れた。ここは電波がクリアだ。いい音が拾える。
今日はイヤホンでは聞かない。スピーカーで繭華と一緒に聴く。

『はい、イセカオルのラジバインもそろそろこれでお別れです。
それでですね・・・。残念なんですが、そろそろカオルのラジオも
休止しなくちゃいけません。
えーとですねー。実は政府のほうからラジオやテレビの電波は全て
マンハンター対策に使うということで、こういう娯楽番組の提供は止めるように
要請されていたのです。でもね、カオルや局長は、そういうの違うッて思ったから
ずっといつもどおりにラジバイン、やってました。
 こんな苦しい時代だから、だからね、みんなにせめて楽しい時間をすごして欲しいって
思って、アタシはずっとラジバインを楽しいだけの番組にしようとしていたんです。
でも、そろそろ無理みたい。ごめんねみんな。しばらくサヨナラなんだ。
それで最後のコーナーは「あなたを祝福、光あれ!」のコーナーなんですけど・・・
こんな時に祝い事なんて、無いですよねー。
 ・・・うん? なんですか局長? え? 来てるって?、
あった! 来てました! 1通だけメール着てます! 

 えーと、それじゃあ、読み上げますね
「カオルさん、俺たち、今これから結婚します」
・・・おー?! なんですかおめでとうございますー!
「でも、祝ってくれる人が周りにいません、だからラジバインに祝って欲しいんです」
いいでしょいいでしょ、祝って差し上げますよー! こういうのがやりたかったんですよー!
ラジバインは、ラジオ・バインド、ラジオで繋がる絆がテーマなんですから、こういのが
カオルの望みでした!
 
 それじゃあ、結婚の曲、・・・何も無いんで、カオルが口でやります。
このラジオを聴いているみなさんも、心の中で祝福してあげてくださいね
チャラララー・・・』

 しばらく、いまいち音程のあわないイセカオルの歌が続いた。

『はい、結婚おめでとう! 
・・・はい? おお! いっぱいお祝いのメール、着てるって?!
 普通の仕事についているリスナーの人からだけじゃなくて、神父さんや牧師さん、
神主さんって人からもメール着てるよ! 神様ヨリドリミドリ! 好きなの選んでね!
 
 よかったね、みんなお祝いしてくれてるって。よかったね。
あー、ごめん、本当にもう時間、それじゃ、みんな元気でね、また会おうね。
本当に終わるまで、曲をかけておくね、途中で止まっちゃったらごめんね』

 何かの、誰かの歌がかかりはじめた。
 
「ねぇキミ」

 繭華が呟いた。

「なんだか、すごく眠い・・・なんだろう、とてもねむたいよ」

「モルヒネは眠くなるからな・・・おっと」

 こちらの隙を伺って、階段を登ってこようとしたマンハンターがいた。
俺はそいつに向かって一発撃った。

「そろそろ無理か」

「うん」

 繭華は起爆装置を差し出した。

「これで爆発しなかったら間抜けだな・・・ふふふ、それだと楽しいね」

「ああ」

「そろそろ押そうかコレ、ねぇ、キミ、もう1度キスしよう?
今度はちゃんとしたヤツだ」

「ああ」

 俺たちはもう1度、キスをした。

「繭華」

「うん、いいよ。もう2度と放れないよ、ボクらは2人で1つの魂なんだ」

 俺たちは、2人で手をつなぎながら、起爆装置のスイッチを押した。












 2017年1月10日
日本国政府はマンハンター事件の一応の終結を宣言した。
「治安の敗血症」とも呼ばれる事態のなか、国民100万人もの命を失いつつも
警察当局、自衛隊などさまざまな関係諸機関の努力を持って、事件は徐々に沈静化していった。

 政府は2016年のマンハンター事件を『12月マンハンター事件』と指定し、
徹底した調査と、今後の対応策について検討することになった。

 インターネット上や口コミでは、関東のある一地方都市で、マンハンター10000人を
道ずれに自爆した若い男女の伝説が伝えられているが、実際のところはよくわかっておらず、
識者の中には都市伝説として切り捨てる者もいた。
(ビルの倒壊事件は存在している)

 事件はあまりにも全体像が大きく、真相の解明には、ひどく長い時間がかかるだろう。

 ただ、どんな事実があろうとも、ここから人とマンハンターとの戦いが始まったのは
確かなことである。

















 詩

 題 コマユバチ

 ゆりかごの

 城を失いさまようは
 
 人の姿かハチの身か

 人の身なれば生きられようが

 コマユバチでは生きられぬ

 






 マンハンター ~コマユバチの城~  完
 

 
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